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ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は免疫系を標的とし、治療しなければ後天性免疫不全症候群(AIDS)を引き起こします。全世界で3,800万人が現在HIVに感染しています。このうち、170万人が2019年に新たに感染した人で、69万人がエイズ関連の病気で死亡しています1。HIVにはHIV-1とHIV-2の2つの主要なタイプがあります。HIV-1とHIV-2は構造的に酷似しており、いずれも最終的にAIDSに至ります。HIV-1のほうが広く蔓延していますが、HIV-2はHIV-1よりもアフリカの西部と中部に限定されています。HIV-2のほうが毒性が低く、AIDSへの進行にはより長い期間を要しますが、より高い頻度で中枢神経系疾患を引き起こします。
What are the stages of HIV infection?
治療を行わないと、HIV感染は次の3期を経て進行します2。
- 急性期—通常、曝露後約3週間で起こります。急性期にはウイルスがCD4 T細胞内で急速に複製します。このことは、ウイルス量が高値となり、CD4 T細胞破壊率が高くなることでわかります。宿主の感染性が最も高くなるのはこの時期です。
- 慢性期—「臨床的潜伏」や「無症候性HIV感染」とも呼ばれる慢性期が感染の第2段階です。ウイルス複製は少なく、治療を行わなければ、感染者がAIDSへと進行するのに10年以上かかります。
- AIDS期—この時点ではウイルスがすでに免疫系をかなり損傷しており、宿主は日和見感染と闘うことができなくなっています。.
How is HIV diagnosed?
HIV感染の検出に最も広く用いられている診断検査は抗体検査です。HIV特異的抗体が検出されるには、曝露後約28日かかります(空白時間)。核酸検査(NAT)は患者のウイルス量を特定するのに役立ちます。
Biology of HIV infection
HIVはゲノムサイズ9.8キロベースのレトロウイルスで、ごく少数のタンパク質をコードし、高い変異率を示します。ウイルスコアを取り囲んでいる脂質エンベロープは宿主細胞に由来し、多数の糖タンパク質が存在します。これらの糖タンパク質は、感染時や免疫原性を引き起こす際に最も重要となるものです。エンベロープタンパク質gp120はCD4に結合し、T細胞やマクロファージと融合します。宿主細胞に侵入後、ウイルスRNAはDNAに逆転写され、宿主ゲノムに組み込まれて、乗っ取った宿主機構を利用して複製します。それにより免疫応答が即座に活性化し、さまざまな機構を介して最終的にCD4陽性T細胞集団が枯渇します2。
HIV-mediated CD4+ T-cell depletion
HIVを介するCD4陽性T細胞枯渇は、(i)感染後のT細胞産生亢進、(ii)免疫応答によるT細胞破壊の加速化、(iii)T細胞枯渇に対する反応として起こるリンパ節内サイトカインシグナル伝達によるT細胞産生の加速化、(iv)ウイルス複製の加速化による骨髄・胸腺・末梢リンパ系の前駆細胞の破壊といった、いくつかの段階を経て起こると考えられています3。
How is HIV monitored?
HIVのモニタリングには、ウイルス量モニタリングとCD4 T細胞計数がルーチンで用いられます。WHOおよび米国CDCのガイドラインによれば、CD4 T細胞数の測定は、抗ウイルス療法(ART)の実施について臨床的に検討したり、ARTの効果をモニタリングしたりするにあたり、HIV疾患の進行について理解するうえで極めて重要です4,5。
Determination of percent and absolute number of CD4+ T-lymphocytes using flow cytometry
正確度・精度・再現性を備えたフローサイトメトリーは、CD4陽性Tリンパ球数の測定に用いられる標準的な技術です。また、フローサイトメトリーはハイスループットの機能を有します。フローサイトメトリーを用いれば、リンパ球に占めるCD4陽性Tリンパ球の割合と、リンパ球絶対数の両方を測定することができます。CD4数を測定するためのデュアルプラットフォームアプローチでは、フローサイトメーターによりCD4陽性Tリンパ球の割合を求め、血液分析器によりリンパ球絶対数を計数します。一方、シングルプラットフォームアプローチでは、血液分析器を使用せずに、CD45ゲーティングにより一定量の血液中のCD4陽性Tリンパ球数を直接計数するか、自動ゲーティング機能のあるソフトウェアとビーズを用いることにより、CD4数を特定します6。CD3陽性CD4陽性リンパ球の割合や細胞数を特定することは、HIV感染者にとって役立つ可能性があります6。HIV感染者では一般的に、感染の進行に伴ってCD3陽性CD4陽性リンパ球数が徐々に減少します。
共刺激CD4陽性T細胞の養子移植でCD4陽性ヘルパーT細胞活性を再構成することにより、HIV-1感染に対する自然免疫を増強できる可能性があることが確認されています7。HIVを介する免疫抑制により、患者が重度の感染に頻繁にかかりやすくなる可能性もあります。感染が進行すると、CD4数が200 CD4/µLを下回り2、重度の免疫不全に至ります8。ニューモシスチス肺炎(PCP)、トキソプラズマ脳炎、サイトメガロウイルス(CMV)感染症、結核などの疾患に至る日和見感染は、AIDSの顕著な特徴です9。
HIVの感染と伝播については、HIVの基礎研究および臨床研究で、HIVの基本的な生物学的特性、主要なHIV受容体としてのCD4の同定、テザリンや三要素モチーフ含有5α(TRIM5α)などのHIV制限因子の理解、発病過程としての微生物転座の同定といった、いくつかの重要な側面が明らかとなっています10。HIVワクチンを開発するための研究や臨床試験も進行中です11。また、生物医学的な予防に関するトランスレーショナルリサーチも徐々に進行しています。
BD Biosciencesは、HIV患者の免疫評価(例:CD4数)のためのIVDアッセイに加え、HIV研究者のさまざまなニーズを満たす各種の flow cytometersや flow cytometry research reagentsを取り揃えています。乾燥タイプ、ユニットサイズ、調製済みで最適化された BD® Small Batch Multicolor Panels は、大規模な試験や縦断的研究を実施する際に、実験ワークフローを効率化したり、フローサイトメトリーアッセイを標準化したりするためのソリューションを提供します。
References
- World Health Organization. HIV/AIDS Fact Sheet. https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/hiv-aids. Published July 6, 2020. Accessed September 30, 2020
- Cowley S. The biology of HIV infection. Lepr Rev. 2001;72(2):212-220. doi: 10.5935/0305-7518.20010028
- McCune JM. The dynamics of CD4+ T-cell depletion in HIV disease. Nature. 2001;410(6831):974-979. doi: 10.1038/35073648
- World Health Organization. Guidelines for managing advanced HIV disease and rapid initiation of antiretroviral therapy. https://apps.who.int/iris/bitstream/handle/10665/255884/9789241550062-eng.pdf;jsessionid=8FA763DD24F996D16BF1C6FDCAFD8BA0. Published July 2017. Accessed November 12, 2020
- Centers for Disease Control and Prevention. HIV surveillance. Revised surveillance case definition for HIV infection – United Sates, 2014. https://www.cdc.gov/hiv/guidelines/reporting.html. Accessed November 12, 2020
- Center for Disease Control and Prevention. Guidelines for performing single-platform absolute CD4+ T-cell determinations with CD45 gating for persons infected with human immunodeficiency virus. https://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/rr5202a1.htm. Published January 31, 2003. Accessed October 4, 2020.
- Levine BL, Bernstein WB, Aronson NE, et al. Adoptive transfer of costimulated CD4(+) T cells induces expansion of peripheral T cells and decreased CCR5 expression in HIV infection. Nat Med. 2002;8(1):47-53. doi: 10.1038/nm0102-47
- Streicher HZ, Reitz MS Jr, Gallo RC. Human immunodeficiency viruses. In Mandell GL, Bennett JE, Dolin R, eds. Principles and Practice of Infectious Diseases. New York: Churchill Livingstone; 2000.
- National Institutes of Health. Guidelines for the prevention and treatment of opportunistic infections in adults and adolescents with HIV: https://clinicalinfo.hiv.gov/sites/default/files/guidelines/documents/Adult_OI.pdf
- Barre-Sinoussi F, Ross AL and Delfraissy J-F. Past, present and future: 30 years of HIV research. Nat Rev Microbiol. 2013;11(12):877-883. doi: 10.1038/nrmicro3132
- Hsu DC and O’Connell RJ. Progress in HIV vaccine development. Hum Vaccin Immuother. 2017;13(5):1018-1030. doi: 10.1080/21645515.2016.1276138.
本製品は研究用です。診断や治療には使用できません。
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